2024年6月27日木曜日

吉村昭「蚤と爆弾」 (文春文庫)



 

戦争の暗部に潜む、人類の良心を揺るがす衝撃の事実。

 第二次世界大戦末期の関東軍による細菌兵器開発を題材にした、戦争の闇を鋭く描いた衝撃の長編小説。 

ハルピン近郊の秘密施設。

そこでは、無数の蚤や鼠が飼育され、ペスト菌やチフス菌、コレラ菌が培養されていた。

さらに恐ろしいことに、捕虜を使った人体実験まで行われていた。 

作者は冷徹な筆致で、この非人道的な兵器開発に携わった科学者たちの姿を描き出す。

彼らの知性と狂気、そして人間性の葛藤が、読者の心を揺さぶる。 戦争の本質とは何か。人間の良心とは。科学の進歩と倫理の境界線は。 

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