2024年10月13日日曜日

石牟礼 道子「新装版 苦海浄土」 (講談社文庫)

かつて水俣は、豊かな海の恵みと共に生きる人々の楽園だった。

しかし、その美しい海は静かに、そして確実に汚されていった。 

 工場から流された有機水銀。

それは魚介類を通じて人々の体内に蓄積され、やがて悲劇は始まった。

手足の感覚がマヒし、言葉を失い、痙攣に苦しむ患者たち。

生まれてくる赤ん坊までもが犠牲となった。 

 しかし、企業は責任を認めず、行政は対応を遅らせた。

患者たちは差別され、地域は分断。

長い闘いの日々が続いた。 

 石牟礼道子は、その苦しみの中にある人々の魂の叫びを、美しくも痛ましい言葉で紡ぎ出した。

それは単なる記録ではなく、人間の尊厳を問う魂の叙事詩となった。 

 「苦海浄土」は、我々に問いかける。

経済発展の裏で失われたものは何か。

人間らしく生きるとはどういうことか。

そして、二度とこのような悲劇を繰り返さないために、我々は何ができるのか。 



※魔法のプロンプトは、COPILOTの仕様変更のため、過去のものがみられなくなってしまいました。楽しみにされた方々、申し訳ございません。

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