2024年5月25日土曜日

吉村昭 「羆嵐」(新潮文庫)





それは日本獣害史上最悪の事件となった。
大正4年12月、北海道の天塩山麓。突然現れた一頭の巨大な羆(ひぐま)が、村を阿鼻叫喚の渦に巻き込んだ。

冬の寒さが渦巻く開拓村に、突如として現れた化け物。重さ500キロを超える巨体、人間を物ともせずに貪り食う。鮮血に染まる雪、骨をかじる不気味な音。男女6人が襲われた。

人々は戦慄した。この強大な獣を前に、「なすすべはないのか。」と。

しかし、ある老練な猟師が立ち上がった。

人智を極めた一人の男と、凶暴な野獣の終わりなき対決が始まる。


 

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