2024年8月14日水曜日

須川 邦彦「無人島に生きる十六人」 (新潮文庫)


 

太平洋の荒波が轟く中、16人の魂が試される壮絶な物語。

 明治31年、帆船・龍睡丸が激しい嵐に呑み込まれた。

船は無惨にも座礁し、16人の乗組員たちは命からがら小さな無人島へと漂着。

ミッドウェー近海のパールアンドハーミーズ環礁であった。

そこには食料も水も、生きるための術もない。

彼らを待ち受けるのは、過酷な運命だけだった。

 しかし、この16人の日本男児たちは決して諦めなかった。

彼らの心には、祖国への強い思いと、仲間を守る熱い信念が燃えていた。

 想像を絶する困難の中、彼らは驚くべき知恵と工夫で次々と難題を乗り越えていく。

海亀の牧場を作り出し、雨水を集める装置を編み出し、さらには孤独な島での生活に彩りを添えるお茶会まで開催した。 

 人間の可能性と希望の力を、鮮烈に描き出す感動のドラマ。

絶望的な状況でさえも、16人の強い絆が乗り越えていく姿は勇気を与えてくれる。

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