2024年10月13日日曜日

手塚 正己「海軍の男たち 士官と下士官兵の物語 」(PHP研究所)


著者はドキュメンタリー映画「軍艦武蔵」の制作を通じて旧海軍軍人との面談を重ねてきた。

本書は太平洋戦争中の日本海軍の生活を克明に記録し、軍の絶対的なヒエラルキーや過酷な訓練の実態を描く。

鉄拳制裁や精神注入棒などの暴力的な訓練方法や、それに耐えた元海軍軍人たちが「もう一度海軍の飯を食いたい」と懐かしむ複雑な感情にも触れている。 

特に注目されるのは、日露戦争の英雄、東郷平八郎元帥の孫・東郷良一の逸話である。 

海軍少将の息子という恵まれた環境にありながら、東郷良一は問題児として描かれている。

運動神経は抜群だったものの、学業成績は振るわず、規律違反を繰り返した。

喫煙や遊郭通いなどの非行により、「良一」ならぬ「悪一」というあだ名まで付けられた彼だが、その人望厚く、豪放磊落な性格ゆえに多くの仲間から愛されたという。 

そして卒業後1年1ヶ月あまり後に、東郷良一中尉は重巡洋艦「摩耶」の甲板士官としてフィリピン・パラワン沖で戦死した。 

その生涯は、当時の若者が直面した過酷な運命を象徴する。

本書は軍隊教育の実態だけでなく、戦争の悲劇と人間の複雑な心情をも浮き彫りにしている。 




※魔法のプロンプトは、COPILOTの仕様変更のため、過去のものがみられなくなってしまいました。楽しみにされた方々、申し訳ございません。

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手塚 正己「海軍の男たち 士官と下士官兵の物語 」(PHP研究所)

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