2024年6月12日水曜日

渡辺淳一「項の貌」 (朝日文庫)



 

江戸時代の罪人の首斬り役として代々家柄を継いできた山田浅右衛門の物語。

彼は500人の首を刃こぼれせぬまま、一太刀で斬ったと伝えられている。

この一門に伝わる「項に貌あり」とは、彼が斬首の際に首の「ある位置」を見ていたことを指している。

処刑という非情な役割を与えられながらも、彼は自らの技術と哲学を磨き上げ、名人の領域に達した。 

 医師である著者の解剖学の知識と想像力を歴史小説に融合させた傑作短編小説。 

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